2019年度 EDU-Port公認プロジェクト「エジプトに公民館を作ろう!キックオフ説明会」を開催しました

繁多川公民館との共同プロジェクト「エジプトにおける教育イノベーション創出事業 ~日本式公民館の運営および社会教育の学びを通じて~ 」が2019年度 EDU-Port公認プロジェクトに選ばれました。

繁多川公民館の南館長とアドバイザーの西山さんをエジプトに迎え、公民館運営や社会教育を学び実践していきたい方を対象に説明会を行いました。

そして、このプロジェクトに協力してくれるメインメンバーとアドバイザーの紹介をしました。

事前のオンラインミーティングを数回繰り返し、当日はそれぞれの担当がお互いを尊重しながら協力して説明会を大盛況へと導きました。

また、オンラインを通して繁多川公民館の関係者や地域のみなさんも参加しました。

120名の事前申し込みがあり、エジプト人の関心の高さが伺えました。

それでは、説明会の様子をお楽しみください。

説明会の詳細

(エジプト側)

日時:2020年1月18日(土) 11:00-13:00

場所 : 在エジプト日本大使館

参加費 :無料

(日本側)

日時:2020年1月18日(土)日本時間 18:00〜20:00

場所 : 那覇市繁多川公民館 2階 実習室

参加費 :無料

EDU-Portプロジェクトの説明

大使館を代表して田中氏がこのプロジェクトの背景を説明しました。

日本の教育は世界で高い関心を集めています。

エジプトに日本式教育が導入されていますが、エジプト以外の国ベトナム、タイ、ブラジル、ペルーなどでも日本型の教育を導入しています。

「EDU-Portニッポン」とは官民協働のオールジャパンで取り組む「日本型教育の海外展開事業」です。

文部科学省、経済産業省、外務省、国際協力機構(JICA)、日本貿易振興機構(JETRO)をはじめ、地方公共団体、教育機関、民間企業、NPOなどが協力して日本の教育を海外転換していきます。

詳しくは日本型教育の海外展開事業(EDU-Portニッポン)のホームページをご覧ください。

繁多川公民館の取組とエジプトでの事業について

繁多川公民館の南館長が、繁多川公民館の取組とエジプトでの事業について発表しました。

私は、繁多川公民館の館長および、公民館を運営する特定非営利活動法人1万人井戸端会議の代表、そして大学で社会教育の授業を持っています。

繁多川公民館は、文部科学省優良公民館表彰受賞2回地域再生大賞優秀賞、朝日教育のびのび賞、農林水産省消費·安全局長賞を受賞しています。

私たちが大事にしていることは、地域に寄り添い、地域と共に歩み社会教育の視点で地域·学校·企業との連携を行い、持続的に地域で支えあえるお手伝いをし、仕組みを作ります。地域での具体的な支えあいが子ども達を育み、地域で育てられた若者がまた大きくなって地域を創造し、将来に希望を持ち、生きていくことの喜びを感じる世の中を市民と作っていくことを目指しています。

そういう公民館にある日ギドさんという方が来ました。聞いたことある名前ですね。(笑)

今のエジプトには公民館が必要だと熱心に語るギドさんに感銘を受けました。

ギドさんがいつかエジプトに公民館を作る時に参考になるのではと、講座を作って実践してもらったのが上の写真です。

日本の子供達にとっても憧れのエジプトに住むエジプト人と実際に会話ができたことで世界が広がりました。

今回のEDU-Portニッポンは、ギドさんが最初に思い描いたエジプトの公民館を繁多川公民館の運営の力をいかしながら一緒になって作っていくことがきっかけです。

公民館にある沢山の事業の中から、あたいぐゎープロジェクト、離島出身の高校生と独居高齢者の共同生活支援、事業を支えるジュニアボランティア、地域課題を解決を進めるチームづくりについて説明しました。(詳しくは繁多川公民館の公式サイトをご覧ください。)

文部科学省「日本型教育の海外展開推進事業(EDU‐Portニッポン) 公認プロジェクトでは、以下の4つを行います。

①民間でのモデル公民館における拠点整備 

社会教育・生涯学習施設の実

大学での人材育成プログラム(アインシャムス大学、オクトーバーシックス大学、アスワン大学)

④ ネット上での日本・エジプト講座

歴史のあるエジプトの皆さんと繋がることで、日本、沖縄の力になると思っています。日本には応援してくれる、一緒になって考えてくれる仲間が沢山います。小さなアクションから始まって、次にできること、もっとできることにチャレンジできるように一緒になって動いていきたいと思います。

グローバル公民館について

グローバル公民館の代表モハメッド・アブデルミギード氏が、エジプトに作る公民館について説明しました。

沢山伝えたいことがありますが、時間が限られているので簡単にお話しします。

今日は、偶然ですが私の人生を変えるきっかけとなった世界青年の船の日です。

私は以前、観光関係の仕事をしていました。エジプトには有名な遺跡が沢山あって世界中から多くの人が訪れています。

私の祖先はこの偉大な遺跡を残したましたが、私は何を残すことができるのだろうかと考えました。

そして、たどり着いたのが「公民館」です。

公民館には3つの役割(つどう、つなぐ、まなぶ)がありますが、私は次の2つを追加しました。

協力と実現です。みなさんご存知のようにエジプト人には協力するということが足りません。みんな自分の意見を主張してそれで終わりです。その意見や考えを実現するためにもみんなで協力することが不可欠です。

また、いいアイディアや考えを形にして実現しそのプロダクトを販売することで自立した公民館運営や社会教育、生涯教育の発展へ貢献していきます。

このあと日本の公民館についてやグローバル公民館と繁多川公民館が協力して開催したオンライン講座を紹介しました。

オンライン講座についてはこちらの講座報告書ご覧ください。

持続可能な運営に向けた事例

株式会社タウンキッチン・取締役および東シナ海の小さな島ブランド株式会社、他数々のアドバイザーを兼務し1年中世界を旅する西山氏が日本の公民館の歴史、最近の日本の公民館、アントレプレナーについて発表しました。

戦後間もない 1946 年に、公民館の構想を作ったのは当時の文部省社会教育課長だった寺中作雄氏です。

公民館図説(公民館のマニュアル)を寺中氏が作りました。その公民館のマニュアルには、赤ちゃんから老人まで老若男女の人々が描かれています。

公民館図説には他にもこんな絵が書かれています。

戦前、公民館ができる前は、官庁からの命令に従って国民は疲れていました。

戦後は、住民の協力と支持で公民館を支える絵が書いてあり、これが民主的運営と解説されています。

公民館は社会教育、社交娯楽、自治振興、産業振興、青年養成の目的を総合して成立する地域の中核機関でした。

青年が公民館に通うとちゃんとした大人に成長して社会を作っていきます。公民館で人間形成を図ることが社会形成へとつながります。

最近の公民館はコワーキングスペースがあり、毎日たくさんの方が使用しています。

今日集まっているみなさんは、日本式教育に興味があるということで日本に最初に作られた小学校について少しお話ししようと思います。

義務教育と公民館のような場所が一緒になって京都で小学校が誕生しました。驚きなのが小学校を運営していたのは会社です。つまり社会の課題を、事業により解決する考え方で作られました。

京都の人たちが教育が大事だと思い自分たちの力で小学校を作ったのです。みんなで資金を負担しました。 

私の勤めている会社タウンキッチンについて少し説明します。

国立大学のカフェを経営しています。日頃はパンやコーヒーを出す一般的なカフェですが、ここの特徴は大学と地域の住民がつながる公民館的な役割をしていることです。ここのカフェで行われるワークショップやイベントでは地域の人たちが先生となって大学の先生に地域のことを教えてあげる場になっています。

他には、食の小商いを応援するシェアキッチンです。主婦等がパンや瓶詰めなどの食品を作って販売するために日本では、業務用設備や保健所の許可を得た厨房が必要です。個人で所有するにはお金がかかるので、キッチンを会社が用意して安くレンタルしています。この施設で自分の食品を試しに販売し食品が売れることが分かったら、本施設を卒業し近隣に自店を開業する主婦が増えてきています。

私のところは公民館のように政府からお金をもらって運営してるわけではなく、自立して運営しています。

アドバイザーおよびプロジェクトメンバー等の紹介

沖縄国際大学イブラヒム先生とアインシャムス大学教育学部 副学長のハーゼム先生にアドバイスをいただきました。

今年度の繁多川公民館とのオンライン講座全3回全てに参加してくれた子供達。

講座の様子をボードにまとめて持ってきてくれました。

参加してどうだったか教えてもらいました。

「日本人と直接会話する日がくるなんて夢にも思いませんでした。この講座を受ける機会を作ってくれたアマード先生とみなさんに感謝しています。とても思い出に残る講座でした。」

繁多川公民館側の様子

JENYOUTHの代表モハメッド・マーギッドさんの言葉を紹介します。

JENYOUTHは交流だけで場所がありません。私たちは、場所を作ることができませんでしたが、公民館という場所ができました。今後は、公民館でエジプト人と日本人の交流を行うことができます。(※JENYOUTH とは、Japan Egypt Network Youthの省略で、日本人とエジプト人のボランティアグループが様々な文化的活動を行っています。)

プロジェクトメンバーの発表です。

学校の先生、NPO職員、日本語を学ぶ大学生等がボランティアでこの活動を支えています。

それぞれが違う立場と視点からこの活動に対する想いを話しました。

自ら進んで動いてくれるプロジェクトメンバーのみなさん。

「みんなで1つ」という言葉がぴったり合うチームワークを見せてくれました。

最後に

繁多川公民館で公民館運営を体験した日から7年。

「エジプトに公民館を作りたい」というモハメッド・アブデルミギード氏の熱い想いが広がって、今日ここに沢山の仲間が集いました。

公民館を知らなかったエジプト人が、公民館の大切さを理解し自分の地域に公民館を作りたいと望む。

それぞれが、自分の想い描く公民館の実現に向けて、つどい、つなぎ、学び、そして協力するその姿に、エジプトにあった公民館がエジプト全国に広がる日がそう遠くはないと確信しました。

これからもエジプトにある資源と同じ志を持つ仲間達とともにエジプトから始まる新しい公民館の形を世界へ伝えていきます。

グローバル公民館の活動を応援してくれている皆様、ありがとうございます。そして今後も応援をよろしくお願いいたします。

7年前の講座の様子はこちら↓↓↓

この記事を書いた人

りむ

沖縄県出身エジプト在住。
小学生の頃から常に夢をもち、目標設定を繰り返しながら人生を切り開く生き方を貫く。
「何歳になってもチャレンジできる。学ぶことに終わりはない」をモットーとし、子育てをしながら日本とエジプトの架橋「グローバル公民館」や個人メディア「りむラボ」を運営している。