「エジプトに公民館を」グローバル公民館の可能性についての意見交換会を開催

日本学術振興会カイロ研究連絡センターの協力のもと「エジプトに公民館を」グローバル公民館意見交換会が開催されました。

いつもお世話になっている南さん、西山さん、イブラヒム先生の3人をゲストに迎え始まった意見交換会には、エジプトに在住し活動をしている日本人の方々、日本で留学や働いていた経験のあるエジプト人が参加し、それぞれの立場から意見や公民館との関わりについて紹介していただきました。

また、日本の公民館の現状や公民館の歴史、公民館にまつわる思い出やエピソードの紹介、エジプトのコミュニティーについてなど色々と学ぶ機会になりました。

Japan Egypt Network(JENYOUTH エジプトと日本の若者の交流を行っている)の皆さんからは、公民館ができることを楽しみにしているとの嬉しいコメントもありグローバル公民館の役割や重要性がエジプトに伝わっているのを実感しました。

それでは意見交換会の様子をご覧ください。

意見交換会の詳細

開催日:2018年9月4日(火) 18時~20時

内容 :グローバル公民館の可能性について意見交換を行う

参加者 :エジプト人、エジプト在住日本人

ゲスト:南信乃介(NPO法人1万人井戸端会議 代表理事・那覇市繁多川公民館 館長)

    西山佳孝(東シナ海の小さな島ブランド株式会社・自治と公共空間など研究からアドバイザー等)

    イブラヒム・エルサムニ博士(沖縄国際大学教授・沖縄在住40年のエジプト人)

場所:日本学術振興会カイロ研究連絡センター

意見交換会参加費:無料

日本の公民館の現状について

南信乃介氏の発表

私は、那覇市から指定管理で公立公民館の運営をさせていただいています。

沖縄の様々な問題や課題がある中で、どういうふうに地域社会を作っていけば良いか模索していたところ、ギドさんに出会い日本の公民館の持つ可能性や自治とのあり方を考えさせられました。

今回は、エジプトに日本の公民館を参考にした地域拠点づくりに寄与できる現地の風土や歴史、市民性をふまえ、 関係機関の皆さんと交流しながら 意見交換したいと考えています。

この後、日本の公民館の現状やこれからの新しいあり方についてお話がありました。

公民館の歴史について

西山佳孝氏の発表

西山氏より公民館の歴史について紹介がありました。

その中でも一番興味深かった話が、公民館を全国に普及させるためのマニュアル「公民館図説」の紹介です。

私も実際に国立国会図書館で実物を読んできましたが、詳細に書かれた内容と分かりやすい挿絵に驚きました。

貸し出し禁止の書籍のため図書館でしか読むことができませんが、興味のある方はぜひ図書館へ足を運んでください。

公民館図説


小和田武紀 編  寺中作雄監修

[目次]
目次
1 公民館とはなにか / 1
公民館はどうしてできたか / 2
公民館は日本特有の社会教育施設であること / 6
公民館の趣旨目的はなにか / 8
公民館の本質はどんなところにあるか / 12
公民館で禁止されているのはどんなことか / 20
公民館建設への努力 / 26
2 施設の現況 / 31
累年別公民館設置進捗状況 / 32
昭和29年度全国公民館設置状況 / 33
累年別全国公民館設置状況 / 34
3 建物(設計図) / 37
建物概説 / 38
実例
(1) 都市の部 / 45
(2) 町の部 / 65
(3) 村の部 / 87
分館 / 114
4 設備・備品 / 121
公民館にはどのような設備品を備えているか / 122
設備,備品の整備と配置利用 / 126
5 組織機構 / 137
6 事業 / 163
公民館とその事業 / 164
公民館事業立案上の留意点 / 168
公民館事業の種類 / 170
7 公民館の経費 / 261
公民館の経費はどのようにしてまかなうか / 262
公民館の経費はどのようにつかわれているか / 268
公民館の予算のたて方 / 268
8 効果 / 277
公民館は地域社会にどんな効果をもたらしたか / 278
9 優良公民館 / 291
優良公民館の表彰 / 292
優良公民館はどうしてえらばれるか / 292
優良公民館の一般的傾向 / 294
10 公民館と町村合併 / 299
公民館と町村合併の意義 / 300
合併の形態にはどんな方法があるか / 301
合併の手続はどうすればよいか / 317
11 これからの公民館の設計 / 319
モデル設計図 / 320
九州公民館協議会案モデル設計図 / 326
建築学会募集モデル設計図 / 330
12 外国における公民館類似施設 / 335
中華人民共和国における人民文化館 / 336
アメリカにおけるコンミュニティセンター / 341
フィリッピンのコンミュニティセンター / 345
13 法人公民館 / 347
14 参考資料 / 351
優良公民館一覧 / 352
公民館と物品税 / 364
公民館と入場税 / 367
公民館建築費補助 / 369
公民館と起債 / 370
関係法令集 / 373

「国立国会図書館デジタルコレクション」より

公民館との関わりやエピソード

イブラヒム・エルサムニ氏のユーモア溢れるスピーチに会場が笑顔に包まれる

イブラヒム先生は沖縄在住のエジプト人で、沖縄国際大学でアラブ文化を教えています。

公民館があったからこそ今の自分があるというイブラヒム先生。

公民館を利用する市民の視点から公民館で実際に経験したエピソードを話して頂きました。

イブラヒム先生が沖縄に住み始めて、3年、4年たったある日、市役所から電話があったそうです。

それは、公民館でエジプトのことを話してくれませんか?という依頼でした。

そして、実際に2時間程度公民館でエジプトについて話し、お茶を飲んで帰ったそうです。

その1ヶ月後、また公民館から連絡がありました。

今度は、公民館でエジプト料理を作ってくれないか?という依頼でした。

公民館で実際にコシャリ(エジプトの代表的な国民食)を作ると新聞に取り上げられ有名にました。

その2、3カ月後にまた作ってくださいと依頼があり今度はフールとターメヤ(エジプトの代表的な朝食※以下参照)を作りました。

すると、参加者のお母さん方がお客さんを連れてくるので、エジプト料理レストランをオープンしてくださいという要望がありました。

私はそれを受け入れエジプト料理のレストランを開きました。

レストランの評判がよかったので、テレビやマスコミに取材されました。するとある番組を見た沖縄国際大学の先生から会いたいとの連絡を受けました。

これが私の人生のターニングポイントになったのです。

先生から沖縄国際大学の大学院で学んでみないか?というお誘いを受けました。

その頃エジプトへの帰国を考えていた私は、大学院で学んだ後にエジプトに戻ればいいと考え直し大学院へ入学しました。

皆さんに忘れないでいて欲しいのはこの流れは全て公民館との関わりによって繋がっています。

そして、大学院を無事卒業しエジプトに帰国しようと考えていたところ、大学でアラブ文化を教えて欲しいとの依頼がありました。

選択科目なので、学生に人気がないと考えていたのですが、予想をはるかに上回る学生が受講し、20年目で3万人の学生がエジプト・アラブ・イスラーム文化を学びました。

3万人の学生達がエジプト・アラブ・イスラーム文化を学べたのは、公民館からの繋がりがあったおかげです。

あの時、公民館に協力しなかったら多分今頃私はエジプトのカイロのどこかでコシャリを販売していたかもしれません。(笑)

その後、カイロ大学と沖縄国際大学と協定を結び10年間交流がありました。また沖縄エジプト友好協会ができました。このような活動も全て公民館からの繋がりで流れてきています。

私のこれまでの体験を通して公民館は地域の住民にとってとても重要な役割があると確信しています。

ここに参加していただいた皆様が、モハメッド・アブデルミギードさんと協力してぜひ活動を支えていって頂きたいと思っています。

グローバル公民館について

  • グローバル公民館の今までの活動

グローバル公民館では、日本とエジプトの共通の立場や職業の人達(例えば、エジプト人の幼稚園の先生と日本人の幼稚園の先生、エジプトと日本人のお母さん、空手家、観光に関わる方々など※詳しくはこれまでの活動をご覧ください。講座報告書はこちら)がお互いの大切にしていることや、取り組んでいることなどから学び合う活動をしてきました。

同じ立場や職業の人であれば基本的な知識や理解がベースにあるため、お互いにより深く学ぶことができます。

そして、一番大切にしていることは、WIN-WINの関係です。

  • 今後の取り組みについて

エジプトは、特別活動を通した. 日本式教育の導入を始めましたが、政府だけの力で全ての学校で実施するのは難しいと考えています。

そこで、グローバル公民館が市民レベルで協力し日本式教育が正しく理解されることによってより良い社会を実現して行きたいと思っています。

最後に

参加者一人一人が最後にそれぞれの視点から意見や感想を頂きました。

その大切な意見をもとに改めて公民館の必要性やどのような形がエジプトに適しているのかをさらに追求していきたいと思います。

グローバル公民館の目指す

  • 国境をこえ、国籍に関係なく、地域住民=世界住民として、お互いに学び合い、気づきが生まれ、新たな価値が創造される世界
  • 世界住民の生涯学習(自己に適した手段・方法を自ら選んで、生涯を通じて行う学習方法)の支援
  • 子供や孫のために、みんなが集い、ともに学ぶグローバル公民館をエジプトに残す

を目指し一歩ずつ前に進んでいきます。

今後ともグローバル公民館への参加、ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

グローバル公民館講座の参加者の声はこちら>>>

>>>ジプトで始まったグローバル公民館とは

>>>繁多川公民館の役割とグローバル公民館に期待すること

>>>エジプト人のモハメド・アブデルミギード氏が語るグローバル公民館の誕生秘話!

この記事を書いた人

りむ

沖縄県出身エジプト在住。
小学生の頃から常に夢をもち、目標設定を繰り返しながら人生を切り開く生き方を貫く。
「何歳になってもチャレンジできる。学ぶことに終わりはない」をモットーとし、子育てをしながら日本とエジプトの架橋「グローバル公民館」や個人メディア「りむラボ」を運営している。