第6回「日本式公民館の機能(つどう・まなぶ・つなぐ)」

繁多川公民館との共催講座「日本式公民館の機能(つどう・まなぶ・つなぐ)について」が開催されました。

今回の企画は、9月の初旬に繁多川公民館の館長がエジプトに訪問する前の事前学習として、公民館の機能(つどう・まなぶ・つなぐ)について学びます。

繁多川公民館を実際に利用している方を招き、どのようにつどい、まなび、そしてつないでいくのかを自身の経験をもとに話して頂きます。

公民館があるからこそ生まれたつどう仲間達、新しい学びのかたち、人と人をつなぐことで受け継がれた新しいもの。

公民館の大切さを改めて実感する講座になりました。

それでは、講座の内容をお楽しみ下さい。

講座の詳細

開催日:2018年8月18日(土) 10時~

講座名:日本式公民館の機能(つどう・まなぶ・つなぐ)について

講座内容:沖縄の繁多川公民館とエジプトのグローバル公民館をインターネットでつなぎ、日本式公民館の機能(つどう・まなぶ・つなぐ)について学ぶ

場所:PMEC-Professional Management Expertise Center

参加費:無料


沖縄からの参加者
日時:2018年8月18日(土) 17時~
場所:那覇市繁多川公民館
参加費:無料

公民館の機能(まなぶ)について

初めに公民館の「まなぶ」機能について繁多川公民館利用団体会長 神村 盛章さんにお話しを伺いました。

公民館の利用団体の代表をしている神村です。

私は公民館の利用団体の方と一緒に、公民館で楽しみながら活動するにはどうしたらいいかを話し合っています。

繁多川公民館には45のサークルがあり週に1回活動しています。年間延べ5万5千人の方が繁多川公民館のサークルを利用しています。

公民館に来る方は、今までやったことがないことにチャレンジしたい人が学びにくるだけではありません。音楽やスポーツ同じ興味の仲間を見つけあい活動するだけではなく、日々の生活での関わりを楽しみにしている方が集まっています。

一人で本を読んで学ぶこともできますが、技術的な成果がわかりにくくなってしまいます。みんなで集まって教え合うことで、学びの文化が継承されていきます。そして、文化やスポーツ、音楽や様々な活動がより発展していきます。みんなと一緒に習いたいという方が現れます。

日常の情報交換や公民館での交流が楽しめるようにサークル活動を大切にしています。

私が会長をしている活動として、いしだエンジョイ育児があります。保育園に入れない子供をもつお母さん達や、家で一人で育児をしているお母さんを対象に月に1度公民館で集まっています。公民館に足を運んで、情報交換や日々の交流を通して楽しみながら育児をして欲しいと思っています。

日本では、保育園に入れないということが社会問題になっています。育児に不安を感じたり、家庭の問題や誰にも言えないことを話せるような環境を用意することで、相談しあったり慰めあったりできればいいなと思って活動をしています。

ちょうど今の夏休みの時期は、利用者団体のサークルの皆さんが、茶道、三味線、点字教室など学習の機会が少ないことを子供達に教えています。そして、夏休みが終わってもサークル活動で継続して学んでいます。また、普段触れることのない点字を習うことによって社会福祉やボランティアに興味を持ち、社会性を育てることにつながっています。

公民館は年齢に関係なく学び合うことができる施設です。日本は社会教育の中で生涯教育を重要視しています。

少子高齢化で公民館の利用者は、高齢者が中心になってきていますが、多子若齢化になっても公民館は柔軟に対応していくことができます。そして、地域の諸問題を幅広い分野で解決することができます。

公民館があることで、人と人とのつながりや学びあいが生まれ活気が出てきます。

公民館の機能(つどう)について

次は公民館の「つどう」機能についてハンタガー島くとぅば会、ペタンク同好会 波平 元維さんにお話しを伺いました。

島くとぅばとは、沖縄が琉球王国だった頃に使われていた言葉です。その言葉が失われつつあるので、後世に残せるように勉強会をしています。

沖縄の島くとぅば(古い言葉)がなくなると、琉球古典音楽や民謡などがなくなります。そして文化も失われてしまうため勉強会を開いて学んでいます。

私のサークルは60代から80代の15名が集まっています。15名全員が先生であり、生徒です。

これからの人生を楽しむためには高齢者がつどい、出会える場所、集まりやすい場所として公民館が必要です。

公民館でお互いの人生経験を語りあい、老後について話し合い、意見を交換し、いいところを認め、悪いところを反省し、今後の人生をいかに有意義に楽しく生きていくか話し合っています。

また、定年退職後で時間的に余裕があります。今までお世話になった地域に何か恩返しをすることが、生きがいになっています。

年をとってもまだ活躍することができる場が公民館です。学びあっていく必要があります。

私達のサークルでは毎回3分間スピーチがあります。自分の孫の自慢話でもいいですし、奥さんとの馴れ初めや基地問題など何でも良いので自分の好きなように何でも話せる時間を設けています。参加者はその3分間のあいだ主役になることができるのでとても楽しみにしています。

人間は誰かに認めてもらいたいという欲望があります。人間の良さを引き出すためにも3分間スピーチを大切にしており、参加者はそれを楽しみにして集まってきてくれます。

公民館は大人から子供まで老若男女問わず集まりやすい場所です。地域の人が集まり学びあい、子供達と共に地域を散策して文化財を見てまわり、公民館の木を切る作業や、清掃活動などいろいろな集まりや活動があります。お互いに自分のできることで力を合わせボランティア活動をして社会に奉仕する原点が公民館ではないかと思っています。

個人的な話ですが、家に樹齢50年余りの桜の木があり、毎日の掃除が大変でした。公民館に相談してその桜の木を切ることになりました。切った木は捨てるのではなく、公民館のネットワークを使って2箇所の木工所に引き取ってもらい、小さな腰掛けと漆器に生まれ変わりました。人と人がつながる場の公民館が、個人の家庭の問題を公民館のネットワークを活かして解決してくれました。公民館はいろんな活かし方や利用の仕方があるなと実感し、公民館の力に感謝しました。

桜の木を切って捨てるのはもったいないし心が痛く、木に対して申し訳なかっ私は、家具や漆器に生まれ変わったことで、気持ちが軽くなりました。公民館の大きなネットワークに感謝しています。

公民館は子供達が安心していける場所、そして大人から子供まで老若男女問わず地域の方がつどうう場所です。公民館に色々な方が集まり、意見を出し合い、色々な考え方が集まることで地域が活性化します。ぜひエジプトにあった公民館を完成させてください。

公民館の機能(つなぐ)について

最後に公民館の「つなぐ」機能について繁多川公民館館長で、NPO法人1万人井戸端会議代表理事の南 信乃介さんにお話しを伺いました。

私は、公民館の機能であるつなぐ機能についてお伝えしたいと思います。

公民館は色々な方々が利用するというお話が神村さんや波平さんからありましたが、繁多川公民館のスタッフは、公民館の利用者がどんな目的や思いで来てるのかを気にしています。生きがいという言葉が波平さんから出ましたが、生きがいが持てるような出会い方や学び方を考えています。

神村さんも触れていましたが、日本には日本の地域の課題があります。少子高齢化や子供達の問題があげられました。実は公民館もそれをよりよくしないといけない立場にあリますが、自分たちだけの力ではお金もないし、人も足りません。それを地域でどうにかしないといけないという時にみんなでできることを持ちよっていく。持ちよったことで形になっていくことを喜び、また自分たちでできたことを実感してひとつづつ階段を上がっていくように一緒に力を合わせていくという役割があります。

私は子供からお年寄りまで誰もが学びあえる公民館は、凄くいいところだなと思っています。学びあえることで、色々な方々から公民館に情報が集まってきまます。また、困ったことや、やりたいことを相談しに公民館に足を運びます。必ずしもスタップがやるわけではなく、困っている人やそれを助けたい人をつなげることで、生きがいを持ちながら地域を活性化していくことができるようになります。それは私たちにとってとても嬉しい取り組みになっています。

繁多川の近くに高齢化率50%(65歳以上の住んでいる住宅)の地域があります。おじいちゃんおばあちゃんばかりなので、電球の交換ができない、ゴミが出せない、壊れた家具がそのままになっているという相談がありました。また、自治会でも人が足りず自分たちだけではどうにもならないということでした。そうした中すぐ隣に沖縄工業高校という高校があることが分かりました。そこで公民館が沖縄工業高校でボランティアを募って、週に1回高齢者の見守りや、電球交換、各修理を手伝えないかということでつなぎました。工業高校なので、機械を扱ったり、家具を作ったり、調整するのも得意なので週に1回高齢者の自宅へいくようになりました。

公民館の機能(つどう・まなぶ・つなぐ)に協力・実現を追加したグローバル公民館の実現に向けて

私がエジプトで作りたいグローバル公民館は、今日学んだ日本の公民館の機能、つどう、まなぶ、つなぐ、機能に協力と実現を追加しています。その理由は、エジプト人は協力することが苦手です。また、学んだことが実現されないとモチベーションが下がってしまうため学びの結果を形にすることを目的として「実現」をプラスしています。

エジプトと日本はパートナーシップを結んで日本式教育を取り入れたり、JICAボランティアの方々が色々な分野でエジプトに協力していますが、私の考えでは政府だけの力では足りません。そこで、日本とエジプトをよりよくしたいと思う共通の思いで集まった人たちが協力していくことが大切だと思っています。

政府レベルではなく、市民レベルで活動をするために、興味のある仲間からはじめてその輪が広がっていくのが良いと考えています。

9月初旬に繁多川公民館の南さんが実際にエジプトにきてエジプトのコミュニティー施設などの視察、意見交換会やワークショップを行いますがその活動を通してエジプトにあった公民館の新しい形を模索していきたいと思っています。

まとめ

公民館に今日学んだ機能や役割があることを知っていましたか?

公民館は老若男女問わず誰もがいって学べる場所。そして、つどい、つながる場所です。

どんなものがあって、どんなことをしているのかぜひ一度覗いてみてください。

公民館での新しい出会いや、つながり、学びがあなたの人生を豊かにします。

いつかどこかであなたとともに学べる日を楽しみにしています。

今後のグローバル公民館講座もお楽しみに!

グローバル公民館講座の参加者の声はこちら>>>

>>>ジプトで始まったグローバル公民館とは

>>>繁多川公民館の役割とグローバル公民館に期待すること

>>>エジプト人のモハメド・アブデルミギード氏が語るグローバル公民館の誕生秘話!

この記事を書いた人

りむ

沖縄県出身エジプト在住。
小学生の頃から常に夢をもち、目標設定を繰り返しながら人生を切り開く生き方を貫く。
「何歳になってもチャレンジできる。学ぶことに終わりはない」をモットーとし、子育てをしながら日本とエジプトの架橋「グローバル公民館」や個人メディア「りむラボ」を運営している。