広島の平和教育

グローバル公民館とJapan Egypt Network(Jen-Youth)、国際交流基金カイロ事務所の協力のもと、広島の平和教育について学ぶイベントが開催されました。

突然ですが、あなたに考えて欲しいことがあります。

あなたにとって平和とはなんですか?

平和を感じる時はどんな時ですか?

会場に来ていた参加者にも発表者が同じ質問をしました。

あなたもこの先を読み進める前に考えてみてください。

そして、あなたが思い浮かべたその平和を守るためにあなたができることは何でしょうか?

グローバル公民館は、つどい・つなぎ・学ぶ機会をつくること。

そして、その学びを協力して実現させることが、平和への近道だと考えています。

今回のイベントは、つどい、つなぎ、学び、協力そして実現というグローバル公民館の目的が達成されたイベントになりました。

それでは、イベントの様子をご覧下さい。

講座の詳細

開催日:2018年8月9日(木) 18:00〜20:00

講座名:広島の平和教育について

講座内容:広島の平和教育について学び、平和への思いを込めて参加者が協力して折り鶴をおり広島県へ届けます。

場所:The Japan Foundation Cairo Office(国際交流基金カイロ)

参加費:無料

グローバル公民館代表挨拶

学びの場へようこそ!

グローバル公民館代表モハメッド・アブデルミギードです。

今回のイベントは、広島の平和教育を通してあらゆる視点から学びます。

国際交流基金に場所を提供していただき、JENYouhtとグローバル公民館が協力して開催することができました。

私たちはお互いに学ぶために集まりました。

戦争の原因が何であったとか、誰が間違ったとか過去に起こったことを追求することは、集まりの目的ではありません。

公民館は、集まった人達がお互いを知り、仲良くなって経験や意見を交換し、協力して学ぶ場所です。

その場所で宗教や政治の話がでてくると、平和のハーモニーが崩れてしまいます。

私たちグローバル公民館では、政治と宗教の話をしません。

これから広島の平和教育について話をしてもらいますが、参加者のみなさんに考えて欲しいのは、過去に起こったことに対する批判ではなく、未来の平和に向けてどう行動していくのかです。

広島市民の素晴らしい生き方や行動から、あなたが今後、周りの人達に対してどう接し、行動して行けるのかを学んで欲しいと思います。

今日のテーマは平和教育です。

平和教育とは、2度と戦争が起こらないように平和の種をまいて育てていくことです。

平和の種をまく前に、

まず問題を意識する。

この問題の複数の解決方法を発見する。

それぞれの解決方法の中で、自分にあった解決方法を選ぶ。

そして、これからは自分達が平和を維持するためにどう行動していけばよいかを考えていきましょう。

JENYOUTHの代表挨拶

Japan Egypt Network(JENYOUTH)の代表モハメッド・マーギッドです。

JENYOUTH とは、Japan Egypt Network Youthの省略で、日本大使館の指導のもと、日本人とエジプト人のボランティアグループが様々な文化的活動を行っています。

この活動は2009年から続いています。この活動の目的は、エジプト人に日本について紹介し、日本人にエジプトについて紹介しています。

これまで、140以上のイベントをおこなってきました。

今回は、エジプト人に日本のことを知ってもらうためにグローバル公民館と協力しています。

最近はグローバル公民館と協力してイベントを行うことが増えてきました。

それは、エジプトに公民館ができれば私たちの目的であるエジプト人と日本人との交流を公民館で行うことができます。JENYOUTHは、これからも公民館の実現に向けて協力していきたいと思っています。

広島の平和教育について

広島の平和教育についてお話をしてくださるのは、広島の小学校で勤務した後、エジプトに派遣されたJICAのボランティアの方です。

まず初めに、参加者それぞれが「平和」について考えることから始まりました。

そのあと広島の原爆がどういう被害をもたらしたかを説明したあとに広島の平和教育について紹介がありました。

広島市内の学校全部で、子どもの年齢に合わせて、原爆で起きたことを学び、これから世界に向けてどのように平和を発信していけばよいか考える授業を行っているそうです。

それでは広島の平和教育の紹介内容の一部をご覧ください。

広島市では、広島市独自の平和教育プログラムをおこなっています。

その一つに「平和ノート」という本があります。

広島市で使用されている「平和ノート」

それだけではなく、自分たちの学校でも、平和集会をしたり、地域にある遺跡を使って学んだり、原爆の絵本やアニメーションを見たり、原爆資料館に行ったり、被爆した方からお話を聞いたりしています。

被曝アオギリについての内容(平和ノート)

被爆した木は、被爆樹木と呼ばれ、広島市内のあちこちに今でも元気に生きています。

この地図がその分布図です。目印はこの、黄色い看板です。

そのほかにも、被爆アオギリは、黒く焦げたところが残っていながらも今も元気に生きています。

そのうしろにある緑色の木は、その2世で、今では株分けされた2世や3世が色んな小学校の校庭などに分けられています。

復興のシンボルとして、わたしたちに元気を与えてくれます。

被爆樹木は小学校の近くのお寺にもあります。大きな大きなイチョウの木です。子どもたちはお寺に行き、イチョウを見て、お寺の住職さんのお話も聞きます。

被爆したことを思い出したくないけれど、次の世代に伝えていかなくてはならないと言って、子どもたちにお話してくださいました。

「平和ノート」ですが、広島市全体の学校で教えられていて、もちろん無料で配られています。

例えば、被爆した樹木について、戦争の時の広島の様子や歴史、広島の復興などについて、段階的に学ぶことができます。

原爆の恐ろしさを知ることはもちろん、どのように広島が立ち直っていったかについて学ぶこと、これからの平和な世界のために何ができるかを考えることもできます。


また、いつも学校では、友達と仲良くすること、みんなで協力すること、友達の意見を聞き合うことをやっています。

みんなで掃除すること、人の話を静かによく聞くこと、みんなで話し合って遊ぶこと・・・

これが平和的に物事を解決する日本人の人格形成に大きく役立っているのではと思います。

広島では6日に、平和を願う式典が平和記念公園で行われました。

今日9日には長崎でも行われました。

世界中からたくさんの千羽鶴が届けられました。

なぜ、世界中から今でも千羽鶴が集まるのでしょうか。

足の速かった少女、ささき さだこさんは、1000羽つるを折ると願いが叶うと信じていました。

原爆が落ちて10年後に、放射線が原因で白血病になってしまったのでした。

もう一度、走りたい。元気になりたい。

そう願って、薬の袋などで鶴を折り続けました。

しかし、願いはかなわず、亡くなってしまいました。

さだこさんの思いを引きついだ友達の手によって、全国から集まった募金で「平和の子の像」が建てられました。

今では世界中から千羽鶴がとどけられています。

そして古くなった千羽鶴は再生され、その紙は広島市の子どもたちの卒業証書として使われています。

それでは、あなたが今感じていること。その思いを込めながら、この後、いっしょに折り鶴を折ってみましょう。

折り鶴を初めて折る参加者が多い中、隣同士で教えあったりしながら挑戦していました。

楽しそうに鶴を折る姿が今でも忘れられません。

みんなで協力して完成させた折り鶴は、広島へ届けられます。

まとめ

今回のイベントでわたしが一番良かったと思ったのは、悲しい広島の歴史を知り、途中涙が出そうになる場面もありましたが、初対面の参加者達が平和への願いをこめ折り鶴を折りそして最後にとってた集合写真では満面の笑顔で今こうして幸せに生きているということに感謝できたことではないかと思います。

この平和を後世に残していくための平和教育の大事なポイントは、世界住民がお互いを知り、理解し、仲良くていくこと。

戦争を2度とおこさないために、戦争とは何かを知り、また戦争をおこさないように平和の種を子供たちの心に植え付けることだと思います。

今回のイベントでは、公民館の役割の一つである生き抜く力を学ぶことができました。

そして、広島のみなさんにエジプト人の気持ちを届けたる手段として広島の人が理解できるツール(折り鶴)を使って思いを届けることができました。

今後もつどい、ともに学び合いその学びをともに形にしていきましょう!

グローバル公民館講座の参加者の声はこちら>>>

>>>ジプトで始まったグローバル公民館とは

>>>繁多川公民館の役割とグローバル公民館に期待すること

>>>エジプト人のモハメド・アブデルミギード氏が語るグローバル公民館の誕生秘話

この記事を書いた人

りむ

沖縄県出身エジプト在住。
小学生の頃から常に夢をもち、目標設定を繰り返しながら人生を切り開く生き方を貫く。
「何歳になってもチャレンジできる。学ぶことに終わりはない」をモットーとし、子育てをしながら日本とエジプトの架橋「グローバル公民館」や個人メディア「りむラボ」を運営している。