第5回「エジプトと日本のおもてなし」

繁多川公民館との共催講座最終回「日本とエジプトのおもてなしについて」が開催されました。

今回の企画は、4回にわたり沖縄の繁多川公民館とエジプトをインターネットで繋いで行われています。(詳細は記事下へ

世界中から観光客が訪れるエジプトと沖縄。

お客様を迎えるために気おつけていることや準備することはなんでしょうか?

今回の講座では日本とエジプトの“おもてなしの心”についてお互いに学び合いました。

エジプトの田舎にある変わったおもてなしの習慣に驚きの声。

さて、その習慣とはなんでしょうか?(答えは以下報告書をご覧下さい。)

それでは、講座の様子をお楽しみください。

講座の詳細

開催日:2018年5月12日(土) 10時~

講座名:日本とエジプトのおもてなしについて

講座内容:沖縄の繁多川公民館とエジプトのグローバル公民館をインターネットでつなぎ、各国のおもてなしの文化についてお互いに学び合う

場所:PMEC-Professional Management Expertise Center

参加費:無料

エジプト側の発表者

モハメド・フアード氏

観光ガイド。観光業界とその関連産業、工芸品およびサービスなどを17年間経験。
2,001年にへルワン大学(観光・ホテル学部)を卒業し観光ガイドとして働く。その後、旅行会社を設立。
エジプトの非伝統的な観光を研究している専門家。
世界ガイド組合およびアラブガイド組合のメンバー。

エジプトのおもてなしについて

エジプトのおもてなしについて、2つの違う視点(社会的・宗教的)からお伝えします。

イスラームの伝承には以下のようなものがあります。

「アブー・フライラー(رضي الله عنه)によると、アッラーのみ使い(صلى الله عليه و سلم)は言われた。「アッラーと最後の日を信じる者は隣人を親切にしなさい。アッラーと来世を信じる者は客を寛大にもてなしなさい。」(アル=ブハーリーとムスリムによる伝承)」引用:満月通信

キリスト教の教えでは、 自分が飼っている羊の中で一番良いものを屠殺してお客様のために用意するというのがあります。

おもてなしは、その人のプライドと社会的地位に関係しています。

おもてなしをしない人は、人格がよくないと思われます。

おもてなしは、人に食事を与えるだけではなく、葬式などにもおもてなしがあります。

嬉しいときや悲しいときにそれぞれのおもてなしがあります。

変わったおもてなしとして、エジプトの田舎では借金を誰かが代わりに支払ってあげるというのがあります。

また、誰かがどこかに行きたい時に送ってあげるというのもおもてなしの一つです。

おもてなしの良いところのひとつに、

  • おもてなしに貧富の差は関係ないく、できるかぎりの範囲で精一杯もてなす。

というのがあります。

古代エジプトのおもてなしの歴史について

5,000年前の古代エジプトは、3,000年間のファラオの時代が続きました。

今から2,000年前まで古代エジプトの家には必ずお客様専用の部屋が備え付けられていました。

その部屋は家の中でもっとも広い部屋で、日当たりがよく、日中は太陽の光が部屋を照らします。そして、夜になるとオーリーブオイルを使用したランプをつけます。

お客様が来た時は、玄関の両側に家族や召使が並んでお出迎えをします。おもてなしの服装は最も良い服をきます。コップやお皿などの食器も金、銀、土器の中で最も良いものを使用しました。

また、自分のお墓を持てるくらいの地位の高い人は、召使を雇っていました。

その召使はお客さんがくると香水をつけて身だしなみを整え出迎えの際にはお花を渡す役割をしました。

そして、召使が音楽や歌を披露しました。

古代エジプト時代で信じていた宗教では、お墓に生前やった良いことを書きます。お客様におもてなしをしたということも良いこととして書かれました。

古代エジプトのあとに グレコ・ローマン時代があります。

グレコ・ローマン時代には、子供を葬式や結婚式に連れて行きおもてなしの習慣を教えていました。

現代エジプトのおもてなし

エジプトの地域によっておもてなしが違います。今回は3つの地域(北、南、砂漠地域)に分けてそれぞれのおもてなしについて紹介します。

  • 南について(首都カイロの下からスーダンまで)

とても大切なおもてなしの心は、

  • 大人を尊敬すること。
  • 思いやりの心。(近所の方が亡くなったら騒いだりしないというのもある。)
  • お客様のための部屋を準備する。(現在まで続いている習慣です。)

です。おもしろいおもてなしをご紹介します。

エジプトでは、コーヒーより紅茶をよく飲む習慣があります。

紅茶をいれるときのおもてなしとして、砂糖をできるだけ多く入れて紅茶は濃くします。

(エジプトの紅茶(シャーイ)は、細かい茶葉の紅茶をカップに入れてつくりますが、茶葉を多く入れて濃くします。)

健康には良くないですね。(笑)

  • エジプトの北について

南エジプトの習慣と似ていますが、お客様のために準備する部屋の名前が違います。

北の名前は、マンダラ。南の名前は、マディアファと言います。

また、お客さんの社会レベルや大切さによって食事の内容が変わります。

  • 砂漠地域(ベドウィン)

ベドウィンは、日本と似ている習慣があります。素晴らしい食事を提供してもつまらないものですがと言います。

ベドウィンのおもてなしとしてお客さんに3日間食事や部屋を提供します。3日間を過ぎるとおもてなしをしないというわけではなく、3日目以降は寄付としてお客さんをもてなします。(イスラームの教えでは寄付をすることが推奨されている。)

お客さんがくると、羊や牛を屠殺して提供します。羊や牛などの革はおもてなしをおこなったシンボルです。

ベドウィンの家には、羊や牛などの革を乾燥させた絨毯が多く飾ってあります。

  • 現代エジプト

現代のエジプトに関することわざを紹介します。

「お客さんが来たときは、預言者が来てくれたように最高のおもてなしをします。」

他には、誰かの家にお邪魔した時には、「相手の好意に甘えすぎてはいけない。

また、「豪華な食事を提供するよりも笑顔やよい言葉づかい、挨拶をした方がもっと良い。

というのがあります。

観光ガイドでの経験

エジプトでは、男性と女性がいたら必ず男性が支払います。女性に支払わせるのは失礼です。

お友達が自分の近くの喫茶店に来てくれたらお茶代を支払うのは自分です。

なので、お客さんがエジプトに観光にきてガイドを依頼され喫茶店で一緒にお茶をした場合、観光ガイドがお金を支払います。

すると、見返りを求めないおもてなしの心に観光客は感動します。

また、誰かがポップコーンやポテトチップスを食べていると知らない近くの人にどうぞとあげます。(※エジプトでは知らない人がよくお菓子をくれます。)

割り勘が当たり前の国も沢山ありますが、エジプトでは割り勘は失礼です。(※現在は割り勘をすることもあります。)

アラブ社会では、Aさん「わたしが払う。」Bさん「わたしが払う。」Cさん「わたしが払う。」とみんな自分が支払いをすると主張します。

この光景をみた外国人はカルチャーショックをうけます。

今日はありがとうございました。

日本側の発表者の紹介

大田浩一 氏
内閣府沖縄総合事務局広報官で沖縄県内各地の市域資源や魅力を高めることに尽力。
個人的にもまちあるき観光ガイドを行ったり、ベロタクシーを運行したり観光現場にも携わっている。

沖縄のおもてなし

沖縄でおもてなしと聞くと一番最初に浮かぶのは「いちゃりばちょーでー(沖縄の言葉で一度出逢ったら皆兄弟)」 という言葉です。

「いちゃりばちょーでー」は沖縄を一番象徴する考え方になると思います。

いちゃりばちょーでーという文化がどこから来たのかは分かりませんが、琉球(沖縄)は島国で、隔絶された社会のなかで、人と接する機会が少ないく、遠くからお客さんが来て1度会うとすぐ仲良くなる人懐っこさからきてるのではないかと思います 。

一回会ってお話しや食事、お茶をすることで、お互いを受け入れ仲良くなります。

エジプトでは宗教的なおもてなしがあるということでしたが 、宗教的なおもてなしは沖縄とはかなり考え方が違うのかなという印象をうけました。

しかし、根本的なところでかなり似てるなあと思ったのが、お食事のお話です。

それは、「どんな豪華な食事よりも、やはりおもてなしをする方の笑顔や心持ちが大切だよね。」というのが沖縄と似ています。

また、沖縄県外から遊びに来た方の食事などを沖縄の人が負担するのはエジプトと似ています。

南エジプトには、先輩の人を尊敬する文化があるということでしたが沖縄にも同じ文化があります。

宗教的な話をすると、中国の儒教の影響をうけているので、

  • 年上の人を大切にしましょう。
  • 隣人と仲良くしましょう。
  • 自分の故郷を大切にしましょう。
  • お父さんとお母さんを大切にしましょう。                        

という文化が色濃く残っているて、それが我々琉球(沖縄)の人のおもてなしの根源にあるのかなと思っています。

もう一つお伝えしたいのは、「ゆいまーる(共同作業、助け合い)」という考え方です。

この考えが沖縄に根付いたのはおそらく自然的な側面が影響していると思います。

沖縄は台風が襲ってくる地域になります。自然災害が多い地域なので、一人の力よりもみんなで協力し助け合うことが、自然災害と向き合って生きていくためには必要であったのではないかと思います。

しかし、少し残念なことは、沖縄の経済成長に従って「いちゃりばちょーでー」や「ゆいまーる」という考え方が、だんだんなくなりつつある気がしています 。

欧米の考え方がどんどん入ってきて経済が第一主義になってくると少しずつ失われてしまのかなと思っています。 そういう時代だからこそギドさんがエジプトで根付かせたい公民館の価値を日本ももう一度見直す必要があるのではないかと思っています。ギドさんは日本でそこに気づいていたんだと思います。エジプトに公民館をつくるという夢の実現に向けて一歩でも二歩でも前に進めていってもらいと心から願っています。

公民館でみんなで支え合う「ゆいまーる」であったり「いちゃりばちょーでー」の文化をもう一度復活させていきたいと私は思っています。

質問と交流タイム!

まず初めに、中学生が折ってくれたスフィンクスやピラミッドを披露。

そのあと、参加者がエジプトと沖縄のおもてなしについて気づいた共通点などを共有、意見交換を行いました。

学校でお友達におもてなしをしたことがあるか?

という質問にクリスマスとかにプレゼントをあげたと中学生が回答してくれました。

質問タイムは、笑顔が溢れる楽しい時間になりました。

まとめ

エジプトのテレビ局による突撃取材!

日本の公民館エジプトで活かすために教育・文化・ライフスタイルをテーマに関係する話者を招きインタネット中継で交流し学び合う企画の全4回が無事終了しました。

毎回、文化や歴史、宗教の違いから様々な発見がありました。

次回から繁多川公民館との共催講座「日本式公民館の役割(つどう・まなぶ・つなぐ)について」全3回の講座が始まります。

エジプトの環境にあった公民館をつくるために、最終回にはいつもネットの向こうにいる繁多川公民館の代表がエジプトに訪問して、現地を視察。

公民館の新しい形を模索します。

公民館の役割であるつどう場、つなぐ場、学ぶ場の大切さを広めるために。

生涯教育の大切さをエジプトに広めるために。

国籍・人種・文化・宗教等にとらわれない学びの場ができる日を夢見て。

今後もコツコツと活動を続けていきます。

エジプトで着実に広がりを見せているグローバル公民館の活動を応援よろしくお願いします 。

グローバル公民館講座の参加者の声はこちら>>>

この記事を書いた人

りむ

沖縄県出身エジプト在住。
小学生の頃から常に夢をもち、目標設定を繰り返しながら人生を切り開く生き方を貫く。
「何歳になってもチャレンジできる。学ぶことに終わりはない」をモットーとし、子育てをしながら日本とエジプトの架橋「グローバル公民館」や個人メディア「りむラボ」を運営している。